2014年6月13日金曜日

「狩猟はスポーツ」なのか?



本日の「自然地域計画」の授業で、
『森林環境に対する住民意識の国際比較に関する研究森林環境に対する住民意識の国際比較に関する研究』(1981年)
という調査書について話があった。

 この調査は世界の人々の森林観をアンケートによって統計的に調査したもだ。たとえば、
「あなたは森に入って何か神聖なものを感じたことがありますか?」
「森林に手を加えることについて、森を守るうえで必要な行為だと思いますか?」
という質問などがされる。これに加えて、とある森林の写真二枚を比べて、どちらが好ましいか、という質問をされる。

 結果として、人間は表面上「生物多様性の高い、自然に近い森林」を好むと思われがちだが、実際には「とある種で構成された、一見してすっきりとしていて見た目の美しい人為の入った自然」を好むとわかる。

 内容的にはとても興味深いが、今回は結果の分析を詳しく読む時間もなかったので詳細は省かせて頂く。ただ、今回気になったのはアンケートの一項目にあった
「狩猟はスポーツとして認められるのか?」
という項目だ。

 狩猟=スポーツ、この感覚は欧米的な価値観をとても感じる。実際調査結果を見ると、この項目に関しては世界各地で質問の意図が誤解を生むという指摘があったようだった。自分としても、生き物の命を奪う狩猟をスポーツとするのか疑問を感じてしまう。

 ただし、現状の日本においては狩猟で生計を立てている人はほとんどいない。とすれば、それは趣味の一環で「スポーツ」とされても仕方のないことなのではなかろうか。

 日本各地で鳥獣害が深刻になっている中、狩猟免許の所持者はますます少ない。つい先日、改正狩猟狩猟鳥獣法が可決され、日本の野生動物対策は保護から管理へと大きくシフトした。
環境省 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案 の閣議決定について (お知らせ)


 そして巷で「狩りガール」が話題となったり、狩猟生活を描いた「山賊ダイアリー」がヒットするなど、世間の狩猟に対する目は比較的明るい方向に向かってきている。

 しかし、そうすると大きく問題になってくるのが「動物の命を奪う」という行為だ。狩猟の大義名分としては「適正な野生動物管理」であるが、狩猟をスポーツと認めてしまえばそれは人間の楽しみのために無為に生き物を殺していることとなる。

 やはり最近マスコミに狩猟が取り上げられるにしたがって、そのような意見を言う動物愛護団体が増えているような気がする。

 無論、自分としては狩猟は人間と自然の適正な関係を築くために重要だと思う。家畜だから肉としてのみ考えていいわけではないし、野生動物とも適切な関わり合いを持っていなければ人間は大事なことを忘れてしまうと思う(だからといってとって食うことが良いかはかなり議論が必要だろう)

 以前から農に関わる者として、食料生産、特に家畜の扱いについて無知のままではいてはいけないと思っていた。最近は、さらに踏み込んで口だけでいうものではなく、自ら実践して考えようと思い、狩猟免許の資格を取ろうとも考えている。

 だからこそ、「狩猟はスポーツ」ではなく、生き物の命を奪って頂いているものだということを胸に抱いて野生動物と人間の関係を考えていかなければ、と思う。

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